フィリピン考察記

ほぼ文章だけのブログ

フィリピンでどの程度 感染が広がるか?

フィリピンの感染者が増え始めている。当初3人くらいだったのが10人、30人。そして今現在68人となっている。→ 最新データはこちらで。https://ncovtracker.doh.gov.ph/

マニラ在住の僕としてはフィリピンでの感染拡大は懸念材料な訳で、現在のところの見解をまとめておきたいと思う。僕の予想は4月1日時点で300人未満(ただし検査次第で2000人)という幅の広めで見てる。理由は後述するが大事なのは3点あると思う。

(追記:4/1の感染者数は2311名と僕は予想を大きく外した・・残念)

◆1:新型コロナウイルスの耐暑性

◆2:検査方針(どれだけ積極的にするか)と入院方針

◆3:途上国の庶民事情と医療体制


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たぶん重要なカギになるだろう1から話をする。

◆1:新型コロナウイルスの耐暑性

 
日本の専門家チームは『季節性の風邪と同じように暖かくなっても終息しない可能性がある』と言い出した。その根拠を彼らは示していないが、いちおう頭に留めておいたほうがいい情報だと思う。

ただ僕が見る限りこのウイルスが耐暑性を獲得している可能性はまだ低いと思う。

理由1:赤道付近の暑い国での感染拡大が限定的であること。

フィリピンもインドネシアもインドもマレーシアも大した数じゃない。もちろん検査体制の問題もあるが、特に人口の多いインドで感染が広がっていたら簡単に医療崩壊を起こしているだろう。また感染者の多いイランについて日本人は中東は砂漠とラクダの暑い国をイメージするかもしれないが、イランの緯度はだいたい九州と同じで南国ではない。

ここで大事になってくるのはシンガポール。および熱帯の国で広がるケースはどういうものかって理由。その前に『ウイルスがどれだけ熱に弱いか』と考える時に2つを分けた方がいいと思う。

A:ウイルスが宿主に寄生している場合。
体温はだいたい36度に保たれている。その温度で死ぬようならそもそも体内で増殖できないことになる。それは外気が50度を越えるような暑い日でも同じ。ウイルスは体内にいる限りは外気の暑さに怯えることはない。

B:ウイルスが宿主から出て他に感染先を求める場合。
根路銘先生によるとコロナウイルスは周囲を覆っているトゲの部分がもろく界面活性剤(要は石鹸)で洗うと壊れて死滅するらしい。また暑さにも弱い。これは旧来のコロナウイルス全般に言える特徴らしい。SARSもMARSも。

なのでAとBのケースは分けて考えたほうがいいと思う。

それを踏まえて、熱帯で感染者が出るケース。

a:他国で感染し入国後に発症。
b:国内で感染者と接触し感染(2次感染)

この場合にシンガポールなど途上国では空港のみならず空港から直行の電車、あるいはTAXIなどエアコンの効いている場所が多い。仮に途中で暑いところを通ったところでウイルスは体内では平気なので、感染を広げる段階で暑くなければ感染を拡大させられると思う。

ただしその暑いエリアと暑くないエリアの比率がどの程度かは重要。感染者の8割は感染を広げないという研究もある。それだけ感染拡大を考える上で割合は大事(ウイルスの感染力とワクチンの接種率とか)



理由2:突然変異がそんなに簡単なのか?

ウイルスもDNAタイプとRNAタイプがあり、RNAタイプは構造がシンプルでキズついても修復しないがため突然変異を起こしやすいと言われている。また感染者が増えることでも突然変異は起こりやすくなることも知られている。

ただ進化する上で環境の変化がない限りは突然変異は起きにくいはずで、例えば寒い地域で生きるシロクマがそこで暑さに強くなることは考えにくい。このウイルスにおいても寒いエリアにいる限りは暑さに強くなる必要性が乏しく、突然変異するにしても熱帯に移動したウイルスの中で・・ということになる。まだ熱帯でそれほど広がってないことを考えると、突然変異する可能性はそれほど高くないと思う。

また耐暑性が付くにしても、暑さに滅法弱い状態からいきなり全然平気に変わることは考えにくく、『以前よりは暑さに強い』といった程度の変化が生まれる方が自然だと思う。


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 (1が長くなったので2,3は軽めにしたい)
 

◆2:検査方針(どれだけ積極的にするか)と入院方針

日本は検査を控えめにし風邪の症状がある人も軽症なら自宅療養してもらい医療崩壊を防ぐことで重症者をケアするという方針を取っている。またそれが今のところ成功していると思う。その一方で韓国やイタリアではバンバンと検査をし(特にイタリアでは)医療崩壊と思われる報告も出始めている。

これは『検査をたくさんすることで状況を把握し早めに対処をする』といった一般の人が思いがちの正しさを政治家が取り入れてしまった悲劇だと思うが、フィリピンもUPやDOHで検査が拡充されようとしてる動きがある。

U.P. coronavirus test kits may be rolled out on March 16


『検査体制の拡充』それ自体はした方がいい重篤になって必要なのに検査ができないってことは避けるべきだと思うから。ただし闇雲に検査を増やすとイタリアの二の舞になりかねない。

この場合にフィリピンの感染症の専門家がどれだけ優秀で発言力があるか?ってポイントが大事で、加えて検査機関というものは総じて検査をしたがる。これを期に研究予算が増え権限が増え大勢拡充にも予算がつくというのは専門家の倫理とは別で動機としては自然だろうと思う。日本の地震研究機関が『地震は予知できません』と言わないことに似ている。

一般には検査の精度(有病率、感度、特異度)などは知られていない。

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3:途上国の庶民事情と医療体制

フィリピンが仮に日本や韓国と同等の気候であったなら、感染者はもっと深刻な広がりを見せていただろうと思う(まだ過去形にするのは早いが今のところはまだ感染者が少ない)

特に庶民層は家は小さな家に重なるように親兄弟が寝ている。仮に1人感染したら隔離は難しく、家庭内感染は極めておきやすい。しかも近所との人の出入りも多い。

感染が広がりやすい上に、医療事情は厳しく、庶民はカネがないと人工呼吸器などは望めない。平均年齢は若い国ではあるが糖尿病などの患者は多いはず。もし感染者が増えたら簡単に医療崩壊するだろう。


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それら1、2、3を見た場合に、2,3は懸念材料(マイナス要素)ではあるが、僕は1のプラス要素の方が強いと思うので、結果として感染拡大自体は国家を揺るがすようなものにはならいと思っている。それにもともと『大病を患えば死んでしまうもの』ということを自然だと受け止めることができればこのウイルスはそんなに悲観するものでもない。高齢者や持病のある弱い人が中心に死ぬので、僕は若い人もバンバン死んでいくようなタイプのウイルスの方がずっと怖い。

ただし健康被害よりも、このウイルスは経済被害の方が大きいと見ている。

スーパーマーケット以外の閉鎖を決めたイタリアなんかはモロにその典型例になってきているが、フィリピンに関してもお店の自粛などがおこれば日給で働いている庶民層が生活に行き詰まりやすくなる。もともと買い溜めをできるだけの貯蓄のない層は災害に極めて弱い。

手の届く範囲で助けられる人は助けましょう。


尚、予想は予想。僕は予測は楽観的ですがそれでも手洗いはするし食料備蓄は普段からしてる。予想によって感染者が拡大するのではなく行動によってそれが決まる。みなさんもいろんな予想があると思うが、備えるところは備えましょう。