KOYA(マニラで子供らと遊ぶ)

庶民エリアにコミュニティスペースを作ってみた。

新型コロナウイルス 3/28の雑感

フィリピンの感染者数が1075になった。1000を越えたことよりも気になるのが+272という増加数が大幅に増えたこと。前日の3倍くらい。そろそろ封鎖から2週間がたち効果が出てきても良さそうな頃なのに『なぜそんなに増えたのか?』

 

・・・・増えたこと自体も問題だが、それについて考察が一切ないのが大問題だと僕は思う。

検査体制を整えて検査数が増えたからなのか??あるいは院内感染やどこかで集団感染があったのか??僕は英語はそんなに得意じゃないのに検索して各ニュースサイトの記事を見たがどこにも書かれていなかった。記者は何をしているだ??

 

フィリピンの感染症の専門家チームとかのリーダーは何をしてるんだ??疑問だらけ。


フィリピンは医師や看護師が不足していると言われる。それはそうだろうと思う。だが、もっと重要なのはそれらを統括しデータを分析し戦略を立てる司令塔の部分。僕はここの能力にかなり不安を持っている。できれば日本の専門家を1人、引っ張ってきたいくらい。

僕の印象は『感染症の専門家不在』だったりする。

なぜ問題なのか?


◆問題1:データ更新が滞っている。

戦略を立てる上でデータは命とも言える。DOHのサイトにおいてどのエリアでどんな感染者が増えたのか?といったデータの更新が滞っている。データがなくては封鎖を解除していいのか延長すべきなのかの判断ができなくなる。

また新規感染者の情報とかも、うまく集約できる仕組みが作られていない。
DOHには感染者MAPがあるが、あれは病院ベースのMAPなので感染者がどこで発生したのか本当のところは分からない。

http://www.covid19.gov.ph/



◆問題2:院内感染。

もともとフィリピンの医療体制が脆弱なのは知っていた。陰圧室と呼ばれる感染症対応の病室が少ないことも仕方がないと思う。ただ医師らの感染は防具とその使い方の指導が適切にされていればかなり防げたと思う (日本の感染症医がそういった主旨のことを言っていた)

また逆にそれが揃えられないのであれば中高年の医師は感染症対応から外れるべきだったと思う。もちろん人命は大事だが、それは医師の人命も同じく大事だし、医師が死ぬことによってその医師が救えたであろう交通事故の患者などが救えなくなったりする。単純に新コロだけを見てはいけないと思う。


◆問題3:各バランガイの対応が闇雲。

例えば日本の場合、学校が休校になって、公園で子供たちを遊ばせる人達が中には出てきた。それに対して『休校なのにどうなのよ!??』って意見がでてきたが、専門家チームが『公園はOK』という見解を出して落ち着いた。

公園は屋外で換気がいい。加えて人混みではない。少しは子供たち同士の接触もあるし、遊具を触ったりはするが、その段階の感染者数とかから考えてリスクは低いと考えたのだと僕は思う。

またもっとリスクが低いのがジョギング。感染症の専門医である岩田医師は、あの武漢においても『ジョギングはOK』といっていた。その発言はよく感染症を理解していない一般人から楽観論としてバッシングも受けたが、あの時点での武漢は道は閑散としていて、飛沫を浴びることもないし、ジョギングなので接触もない。極めて安全性が高いはず。

その一方で、フィリピンは公園も封鎖。外出もドンドンとNGにして家に閉じ込めていってしまっている。もちろん人の接触は減るほどリスクが低くなるが、ずっと家の中にいるとストレスが溜まる。免疫力は落ちるはずで、配給もまともにできないのに闇雲に外出を禁止すればATMでお金もおそろせないし食料は買えないし、その抑圧が長引けば、反発する人が増え、それに対して罰則で対応するとドンドン悪循環に陥る。

それを緩和するために、専門家は各バランガイの自治を尊重しつつもガイドラインをしっかりと示す必要があると思う。

ちなみに僕は食糧不足になりつつある集落の友人とゲートの外で待ち合わせをしてゲート越しに支援物資を渡していたのだが、それも密告によって中止させられた。

その一方でジョリビーなどは大忙しで調理スペースは閉鎖空間で人口密集地であり、しかもみんなが声を出す。食べ物は必要だが、対策がぜんぜんされていない。




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僕はそれなりに情に厚い方だとは思うが、それでも戦略を練る時は、情は分けて考える。危機対応っていうのは『命か経済を選ぶ』という単純なものではなく『どいう人の命を選ぶか、その人達を犠牲にしてでも、別の命を救うか』・・命も経済もいろいろが入り混じった複雑な選択なのだと思う。


僕はフィリピンに新コロ対策の専門家が人材不足なのだと思っている。それは単に途上国というだけではなく、フィリピンの場合は感染症といってもデング熱・マラリアといった蚊を媒介にするものが多く、他にも狂犬病とかで、インフルエンザは通年流行っているといっても数的にはとても少ない。なので新型コロナウイルスに対して詳しい人が少ないような気がする。

加えて専門家といっても、感染症の専門医と、データ分析をする専門はまた別だったりする。データ分析に関しては、より数学的な統計知識や、フェルミ推定的な能力が必要になる。加えて、それら専門家とは別に、経済の専門家も必要になる。封鎖を1ヶ月続けた場合にどれだけの人が失業し、どれだけの店が倒産し、犯罪や餓え、暴動などの可能性も検討しなければいけない。


またフィリピンにおいて問題なのは、政治家や官僚など意思決定に関わる人達のほとんどが庶民層の生活を分からない点だ。政府は支援金や配給を決定したが、とても遅いし量も少ない。その実情を分かっているとは思えない。

各社社会の1つの難しさは上の層と、下の層での理解が極めて薄い点。

中流以上は『スーパーマーケットに食料がたくさんあって良かった。物流も問題なさそう』って思っているが、それはマジョリティーである庶民が失業していて十分な食料を買うカネがないからだということを知らない。


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オピニオンとしては以上。

今日はG-CASHの登録がなんとか終わり、集落の友達に送金ができた。それによって彼は家族やご近所の食料を調達し、支援物資として届けることができた。彼らの写真や感謝の言葉が届くと僕も胸アツだったりする。

また別件で大家さん家族に頼んでいた別エリアの知人にも支援物資が届けれられた。こっちは子供が8人くらいる。フィリピンで庶民生活は大変だがそれがみんなまとめて失業だから人によっては新型コロナウイルス以上にCRISISだと思う。