KOYA(マニラで子供らと遊ぶ)

庶民エリアにコミュニティスペースを作ってみた。

なぜフィリピンのメシは残念なのか?

バンコクへの旅行からマニラに戻ってきました。フィリピンの下町を歩いてみると『ホントに食べたいものがない』と思いました。タイなら安くて美味しいものがけっこうあり『何を食べようか困るくらい』でした。

もちろんフィリピン料理にも美味しいモノはあるのだけど、ローカルフードの評判では東南アジアでも『かなり悪い』ように思います。


『なんでだろう??』


けっこうマジメに考えているところです。

評価が低い理由は割に簡単です。タイと比べて・・・

・少し値段は安いのですが、コスパはグッと落ちます。


【1:生麺、2:牛乳、3:肉、4:パン、5:野菜】

例えば『麺』はタイとかベトナムなどでは『生麺が主流』でタイなら『ラーメンみたいなタマゴ麺』とか『春雨みたいな麺』とか『きしめんみたいな麺』を選べます。それぞれに旨い。

フィリピンは・・・既に茹でて固まっててそこにスープを注ぐだけ・・・ってタイプのが主流。箸でほぐすとボロボロに崩れたり保存のためか塩辛かったりします。生麺もあるにはあるが扱っているのは高級品であるラーメンとか低価格のものではチョーキングってチェーン店とか限らたところだけです。

次に『牛乳』・・・タイでは生乳がスーパーやコンビニで手軽に買えます。値段は小さなパックなら50円ほど。気軽に飲めしかも味もいい。少し出せば高級な牛乳も飲めます。一方でフィリピンは・・・基本的に輸入品が主流だからか長期保存ができるパックが主流。あまり美味しくないにもかかわらず1リットルで200円くらいする。庶民には牛乳が高いので飲まないと思います。

お次は肉です。フィリピンも肉自体は美味しいと思います。ただタイの料理が骨が処理されて食べやすいものが多いのに比べ、フィリピンのはBBQであっても『骨付きで食べにくい』のがホント多い。チープなだけでなく『食べる側への配慮が足りない』と僕は思っています。昔からそれが当たり前だったのでしょう。

さて次はパン。タイではあまりパンを食べなかったのですがベトナムとかカンボジアとかフランスの植民地だった国はフランスパンが美味しかったりします。フィリピンはスペインの植民地だった影響もあってパン屋は多いのですが、主流は『甘ったるいパン』です。焼きたてのパンデサルは美味しいと思いますが全体的なクオリティは低いと思う。もちろんモールで売っているのは美味しいのでしょうが日本と同等の値段がします。その辺の『良いモノ』に関してはかえってタイやマレーシアの方が安いのでは??って気がします。

最後に野菜です。他の東南アジア諸国では野菜が新鮮で豊富です。フィリピンはバギオのような産地では新鮮な野菜が安いのですが、マニラでは鮮度もイマイチ。値段も安くないし種類も少ない。あくまでローカルの市場での話です。例えばキノコ類はほとんど売っていませんし、モヤシはマレーシアのように新鮮な状態で売られているワケではなく収穫されたものがビニール袋に入れられ萎びていたりするのも普通です。

 

 

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さてここからが本題です。

なぜフィリピンはタイやベトナム・マレーシアのような食文化が育ってないのでしょうか?いくつか仮説をたててみました。


1:島国で食文化がなかなか伝わってこなかったから。
2:華僑の影響がそれほど食文化に浸透しなかったから。

3:過半数が庶民で、庶民は保守的だから。
4:中間層がまだ少ない貧しい国だから。
5:人口が多く需要過多な状態が続いているから。

6:流通がダメだから。

まず1からです。隣り合った国は食文化が伝わり似た料理や似た調理法があるのが普通です。歴史的な部分で貿易があまり行わていなかったり国交が断絶している期間が長かったりするほど他国の影響を受けなくなると思います。おそらくフィリピンは島国なのでそういう傾向はあるのかなって思います。

その一方でマレーシアだったらインド人やインドネシア人や中国人も多くマレー料理だけでなくそれらの国の料理が一般的なローカルフードとして根付いています。


次に2(華僑の影響)についてです。中国の食文化は侮れません。中国が嫌いな日本人はいても中華料理が嫌いな人は少ないと思います。フィリピン経済は華僑が牛耳っていると言われていますしマニラには中華街もあります。でもその割に中華料理が浸透していません。理由は僕には分かりません。ですが次の3(保守的な庶民)っていうのがヒントになるような気がしています。

というのは僕の知る限りフィリピンの庶民は珍しい外国の料理を避ける傾向にあり、かなり食に対して保守的だと思います。中流や上流の人は積極的に日本料理などを食べたりしますが、庶民はカレーライスであろうがお好み焼きであろうが『知らない食物』に手を伸ばそうとしません。だから中華料理もあまり広がらなかったのかな??って気がしています。それこそ焼売とか肉まんとか限定的なものだけ広まっている感じです。

次は4(貧しい国だから)、これは3とも絡んでくるのですが、貧しい人の思考は『美味しいものを食べたい』ってことより『お腹いっぱい食べたい』ってことが優先されます。少しお金を上乗せしてクオリティーの高いものを食べるって人が少なければ、必然的に売る側は『質より量(安さ)を優先する』と思います。

これはフィリピンに限らず(行ったことはありませんが) バングラディッシュなどのような貧しい国に見られる傾向だと思います。

とはいえフィリピンの富裕層はいて中間層もそこそこ増えてきています。

そこで感じる理由その5が『需要過多』です。

マカティ市など都会にいくとカフェやレストランはお客さんが溢れています。また普通のモールにあるジョリビーのようなファーストフード店でも常にお客がいる状態で次々に作ったものがはけていくので回転率が良いだけでなく『冷めると不味くなるから注文が入ってから作ろう』なんて考える必要はあまりない状態です。

お金持ちはそこそこ高くてもレストランで食事ができる状態。そんな状況で商売人はどう考えるだろうか??と考えた。

1:庶民向けの美味しいラーメン屋台を作る。

2:金持ち向けの高級なラーメン屋を作る。

 

この2つで考えた時に、どう考えても2の方が儲かるのが今のフィリピンだと思います。1のターゲットである庶民は『値段を優先する』・・・需要過多の状態では『クオリティーよりも立地などの要素が大きい』と思う。なので2を選びマカティやBGCなどで1杯1000円近くするようなラーメン屋を出すタイプの商売人が多いのかと思います。当たればそれでも大儲けです。もともと人件費が安い国ですから利幅が大きいのです。

これがマレーシアやタイになるとモールにいってもフィリピンほど混んでいません。お客は広い選択肢の中から自分にあった店を選べる感じ。それだけ競争が激しくなり、高いだけの店とかは淘汰されやすくなります。フィリピンなら極論すれば『立地が良ければチキンだしてりゃ儲かる』って思います。

そんなワケでフィリピンの食文化はお金落ちから少しずつ日本食などが中流に降りてきている段階。価格でいえば450ペソのラーメンがお金持ち向け、それが200ペソ前後のラーメン屋が少しずつ広がってきている段階。それが庶民にむけた60ペソくらいのラーメン屋ができるにはまだ当分はかかるものと僕は思います。

またなまじっか『そういう商売で儲かる状態』では新たなチャレンジを起こそうという商売人を生みにくくしていると思います。それこそ『キノコ農園』とか『牧場』とか大手が参入してしてくれればいいと思うのですが、なかなかそういう状況になっていません。需要はあると思うのですがリスクが高い割に儲からないと思われているようです。

 


あと最後に6(流通がダメ)ってことについても触れておきたいと思います。フィリピンは交通渋滞が酷く、船や電車などもイマイチです。隣の島にいく時にも飛行機でなければ半日ほどかかったりします。そんな状態ではバギオの野菜をマニラに運ぶにも時間がかかり安くて新鮮な野菜とマニラで食べることを困難にしています。


また流通でいうなら交通網だけでなく税関の手続きが面倒だったり、大手企業が牛耳っていることで輸入品が高かったりもします。それらコストパフォーマンスの高い食事をする上ではマイナスに作用していると思います。

 

ご意見があればコメントくださいな。