フィリピン考察記

ほぼ文章だけのブログ

COVID19 雑感 3/21

都市封鎖中のメトロマニラ。今日は昼12時と夕5時に支援物資を渡した。

僕の住むビレッジは特に何もないが、庶民層の暮らす集落では厳格に外出禁止令がでている。外出できるのは1ヶ月1名のみ。多くが封鎖により職を失っている。しかも普段は家族がセーフティーネットとなっている家族社会だが、今回は複数の家族が同時に失業している。

蓄えがそんなにない人達な訳で、失業によりカネがなくなり、カネがなくなると食料などにも困るという状態。政府からは失業手当らしきものP5000が支給されるとの発表があったし、食料などの配給も予定されているらしいが、今のところ届いている様子はない。

僕はその集落に友達やら知人やらがそれなりにいるのでせっせとモノとカネを運ぶ。たまに募金とかはしてるが、直接の支援はボランティア団体の経費やらも必要ないし、貢献がダイレクトに伝わってくるから実感がわく。

だいたい1回あたり2家族への物資、両手に1つずつ。コメ、インスタントコーヒー、インスタントヌードル、ティッシュ、石鹸、野菜、果物、缶詰、あと洗剤やお菓子。それに生理用品と、赤ちゃんのいる家庭には粉ミルク。といった感じ。少しずつ要望をききながら変化させている。

となりの集落の入口は既に封鎖されていて、僕は中に入れない。中にいる友達と外で待ち合わせをして、彼が物資を運んでくれる。そして時間差でその家族からお礼のメッセージが来たりする。他にもそこと違うエリアの親友と、その親世帯(別)とか、大家さんのメイドさんとかも失業してる。

加えて、僕は普段ならストリート・チルドレンに寄付をしないタイプの人間なのだが、さすがにジプニーとかがほとんど止まって、彼らも経済活動ができない。そして普段は漠然ともとめられれば寄付をするタイプも彼らを気にする余裕はないと思ったので、家から北と南のホームレステントエリアにいって子供らに物資を届けてきた。

今は非常事態。できる範囲で出来ることをする。


ただ非常時なので普段よりセキュリティには気をつけている。今はまだそうでなくても今後、カネも食料もなくなった人達の中に犯罪をしてでも生き残ろうとする人達が出てくるだろう。なので物資を両手に抱えていることでターゲットにされる恐れがある。なので周囲には気をつけるし待つ場合も警備員から見える位置で待ったりしている。

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さてフィリピンの感染者は3日間ほど増加数が少なかったが、ここに来てグッと感染者が増えて307件になった。増加数は+6, +11 , +12 , +69 といった感じ。検査体制が拡充されたのかもしれないが理由は分からない。

専門家の発表では、今回の封鎖があっても『ピークの先延ばしに過ぎない』といった発表があったらしい。またワクチン接種まで12-18ヶ月以上この状態が続くとか、セーフティーネットがない以上は外出禁止などを緩めると貧困層が困る

といった見解があったようだ。

僕はそれら3点の予測が正しいという前提で考えても、封鎖をあるていど緩和して、感染拡大を許容する方がいいと思っている。

なぜなら、封鎖等でピークを先延ばしにするというのは、医療体制を拡充できる先進国においては有効だろうし、ピークの山が低くなれば医療崩壊は防ぎやすい。だが、途上国においては、先延ばしにしたところでそれができない。またピークの山が少し低いくらいでも残念だけど医療崩壊はおきてしまう。と思うのが1点。


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次にこの外出禁止1ヶ月が更に延長され1年続いた場合を考えてみる。

この1ヶ月の封鎖でさえ、失業しカネのない人達が既に悲痛な声をあげはじめている。今後は食料の配給とかはあるだろうが、それが十分に届くとは思えない。フィリピンを構成する人の多くは庶民なのだら。

ある人が『老人を犠牲にしてでも経済を優先しようって意見に嫌悪感を持つ』みたい書き込みをしていた。それはそれで1つの意見だと思うが、僕は『経済も大事だ』と言っている人達みんながそんな無慈悲な感じではないと思っている。

たとえばオリンピックが先延ばしになると大損するとか株が下がって困るから、というのが理由ならそれはそれで自分しか見えてないからそう思われてもまぁ仕方がないのかな・・とは思わなくもないが、実際に経済が悪化し恐慌にでもなれば多くの自殺者が出る。

途上国の場合はそれだけにとどまらないと僕は思う。困窮者が続出すれば強盗や略奪、あるいは暴動といったものもおこりうる。イギリスのように比較的豊かな国でもおこるのだから、庶民層が多いフィリピンならかなり深刻になるかもしれないと危惧している。

しかもそれだけではない。小さい家に複数の家族と一緒に24時間閉じ込められる生活は極度のストレスを与える。そのストレスによって免疫力は低下し病気になりやすかったり持病が悪化して死ぬような影響もあるだろうと思う。

(難しいのは感染症の専門家は経済や治安は専門外であるって部分)

なので、僕は『高齢者を守りたい』って考え自体は優しいと思うし、僕も守りたいとは思うが、所詮は『恵まれた経済状況の人だから言えること』だとも思ってしまう。


フィリピンのような途上国はもともと貧しければ十分な医療が受けられずに死んでしまうという厳しい世界。人々の多くはそれを悲しみつつも、許容して生きてきている。新コロだからといって急にその状況がかわるというものでもない。フィリピンの政治家なり力のある層が、普段からそういうのに力を入れてきた訳でもない。

また『経済も大事』って言っている人達も『自分は若いから関係ない』って人ばかりじゃないと思う。僕は『どうバランスさせるか』ということは考えるが、比較的そっちよりの考えかもしれない。が、僕にも高齢の両親はいるし、僕自身が高齢あるいは大病になればやるだけやってあとは仕方がないと考えるタイプ。それは良い悪いではなく価値観の問題だと思う。

また池田信夫さんなどはバリバリの『自粛すべきではない派』だが間違いなく高齢者だ。

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いまは非常事態だ。世界中がパニックをおこしている。特に新コロについてはまだ分かっていないことも多く、みんなの知識や置かれている状態、思想などに大きな差があり、よって見える世界は人によって全然違う。

非常時にはその考えの違いに平時より癇に障る。不安やストレスを抱えている人は残念ながら攻撃的になりやすい。ある程度は仕方がないが、できるだけ考えの違いには寛容でありたいと思うし、寛容である人が多くあってほしいと願っている。

僕も感傷的になることはある。救援物資を送ったファミリーから『粉ミルクがなくて困っていた助かった。ありがとう』なんて言われると熱くなる。早く封鎖が解除されて欲しいとは思うし、大統領の決断自体はやり過ぎだと思っているが、でもフィリピンの選択には従うし、彼と同じ考え方を持つ人に嫌悪感を持つことはない(考えは違うって言うことはあるが)

そして僕らの予想が当たろうが当たらなかろうが、日本は日本の、フィリピンはフィリピンの政府の決断に従うよりほかはない。その中でそれぞれが励ましあいながら手洗いなど出来ることをしていくしかないのではないかと僕は思う。

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とりえあず僕はまだ金銭的に余裕がある方なので、今のところ支援額が5万円を越えたくらい。たぶん封鎖解除までには10万円を超えるかな・・・くらい。複数の家族に1人で支援しているので、封鎖が長引くとキツイけど、仮にそれらのカネがなくなってもよくよく考えれば僕がそれで困窮する訳でもないし・・・と割り切っている。

偽善だと思う人もいるだろうし、僕も『人によく思われたい』とかいう気持ちもあるだろうと思う。そんな単純に善意だけを取り出して行動できるほど人間は単純ではないと思ってる。その結果として関係者がみんなハッピーなら周囲に偽善だと思われようがどーでもいい。

今後の予定としては、日曜に大家さんのメイドが来るらしいので、物資を渡す。たぶん月曜あたりにコメ25kgを届ける。来月にも最低1回は届ける。できればクレヨンとか塗り絵とかまとめ買いして自宅で暇してる子供らに届けてやりたいけど、それら物資の入手は今は困難。

・・・・とかそんなことを考えている。

そして僕自身は普段から洗濯も自分でするし自炊もしてる備蓄もカネもバイクもある。加えて大家さんの家族と隣接してるから話し相手もいる。1ヶ月くらい余裕・・・集落の人達の苦境とのギャップに軽い罪悪感ももっているくらい。