KOYA(マニラで子供らと遊ぶ)

庶民エリアにコミュニティスペースを作ってみた。

セカイイチオイシイ水の感想

マニラで日本映画祭がやっていたのでフィリピン人の友達と見てきました。

セカイイチオイシイ水 〜マロンパティの涙〜
(あとで調べたら日本での公開は9月21日らしい)

内容としては日本のNGOみたいなのがフィリピンで安全な水の入手が困難なエリアに水道を引くというもの。主役は映画初主演らしい辻美優という人であとは赤井英和さんらが出ていますが他にもK1の角田さんやプロレスラーの蝶野さん、柔道家の篠原さんらが出ていて知っている人は「おっ!」って思ったかも。


さてここからは ネタバレ になるので注意してください。



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<ネタバレを含む感想>

いちおう映画だから仕方がない部分はあると思うが、感想を素直に書く。

<主にストーリーについて>

フィリピン在住の僕としては、少し取材が足りてないような印象を受けた。主人公がろくにしら調べもせずフィリピンの田舎にホームステイすることになるのだが、出迎えにいく日本人男性の車がボロボロ・・・いくら資金難の事業であってもそれなりに大きい団体そうなのであれはない。事業に支障をきたす。車が壊れて空港まで迎えにいけないのだが、普通なら空港までタクシーなどで迎えに行かないと旅慣れていない人ましてや事前に準備をしていない人が(途中までとはいえ) いくのは困難だし、選択として間違っていると思う。

最低限の安全性は団体が確保すべきだと思った。次にホームステイ先にいく車中で「現場にいくともっと後悔する」と迎えの男性が言うのだが、その前振りが活きていないと思った。フィリピンの田舎でホームステイしたことがある僕ならシャワーがなく手桶で水浴びしたり川で洗濯するようなシーンを入れる。

その前振り(後悔する)に該当しそうな部分としては家の古さと、ベッドにカブトムシがいることに驚くってシーン。ここはゴキブリかせめてトカゲでしょ!??って思った。

次に老婆が過去の戦争のことで日本に恨みをもっているというのは多くの日本人は知らない歴史だと思う。僕もそういう高齢者に会ったことがあるので少しは分かる。ただし中年の男性が日本人に不信感を持っているって部分はちょっと大袈裟な気がする。その世代は過去に個人的に騙されたとかいう経験がない限りはああならないと思った。もっとも親の世代からずっと聞かされていたという可能性はあるのだが。

その日暮らしが多いフィリピンの田舎・・・ということを考えるとホームステイ先の娘が病気で入院するのも少し快適すぎる病室だと思った。フィリピンも場所によっては違うのだろうし1990年当時にどうだったのかまで僕は知らないのだが、庶民層があんな形で入院するのは経済的に困難だろうと思った。


<主に事業について>

この話は実際にあった話をベースにして作られている。にしては疑問を感じることがいくつもある。「約10キロ離れた所に安全な水がある。集落は海水を沸かしたり濁った井戸水を活用するしかない」という話なのだが、「10キロって遠いか??」って思った。大抵は車が通れるような道路。10キロに6000万円(映画の中での見積もり)をかけて手作業で水道管を通すよりは、井戸水を浄水する方が合理的な気もする。また雨季のあるフィリピン・・雨水も利用して併用してはどうか・・とか。

また水が貴重なエリアで暑い中で作業するのは過酷だと思うが車で「泉」を訪れた際に水を大量に積み込まないのは不自然だと思った。それこそ道路を少しだけ整備してトラックでピストン輸送する方が合理的なんじゃないか??

作業している人たちは給料をもらって働いているのだろうか??無給だと高額な事業費という説明がおかしくなるし、無給ならその日暮らしが多いって説明に矛盾がでるような気がする。また有給ならなぜ重機を使わないのだろう??映画の中では「設置してもメンテをするのは現地の人だから一緒になって作る」みたいなことを言っているのだが、小型のシャベルとかは使う方がずっと捗る。計画自体の実現性が不確かだったからこそ市長などの協力が得られなかった訳だが、そういう「手作業で一緒に」なんて言っているから時間も費用もかかるのでは??ってもし該当部分が実話だとすればそう思う。

あと市長の協力が得られないとしたら事業の許可自体も難しかったんじゃないのかな??とかも気にはなる。10キロにわたって水道を設置するって他人や公共の土地を掘り起こすことになるし、日本の団体が巨費を出してくれるなら市長が反対する合理的な理由がない気がする。市の予算をそっちに出さないまでも、形だけ協力し良好な関係をアピールして人気取りをする・・・のが自然かな・・・あと賄賂を供給するとかはあっても不思議じゃないかもしれないけど。

またボランティアが肉体労働を一緒にするっていうのも現実離れしてる気がした。手配とか啓蒙とか事務作業とかそういうのはしても、炎天下の中で土を掘ったり埋めたり・・・それをメインにしてはダメな気がする。

もちろん、結果的にそこに水が引かれたことは良いことだと思う。

最後に何度か訪問する主人公の英語が上達していたのは良かった。