KOYA(マニラで子供らと遊ぶ)

庶民エリアにコミュニティスペースを作ってみた。

基本再生算数をどう見る2

ここ2日間くらい基本再生産数R(0)とか実効再生産数R(t)について考えている。

前回は同じウイルスでも環境や習慣によって異なるだろうって事と、新規感染者数から推計するのも割に難しいだろうって話をした。

manisen.hatenablog.com



今回はもう少し、気がついたことがあったので考察してみたい。

それは『1:R(0)はステージによって変わる』という話。と
『2:Rに時間軸の概念を入れたらどうなるのだろう??』という話をしたい。


たまに確認のために言っているが僕は数理のプロでもないし、感染症のプロでもない。単なるニワカの好奇心で考察している。なので鵜呑みにしないようにして下さい。

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◆1:基本再生数はステージによって変わる(はず)

基本再生産数R(0)とはウイルスが1人から何人に感染させるかの指標で、ロックダウンとか自粛した上でどうなったかは実効再生算数R(t)というのだが、Rが1以上なら感染者は増加し、Rが1以下ならだんだんと収束していく。ってことになっている。

でも、いろんな資料を見ているとR(t)は増えたり減ったりしている。何の対策もしない状態ならR(0)=R(t) となり増え方も単純な二次関数で表されるはずだがおそらくはそうはならない。

 

どうして、そう思うか? 人口が100人いる村をイメージしてもらって、R=2つまり1人が2人ずつに感染させていくとして、最初は1人が2人、2人が4人って増えていくが、実際には接する人が既に感染しているケースがだんだんと増えていくから増加しスピードが遅くなる。

そう考えていくと、これが集団免疫の考え方なんだと思い出し、勝手に納得している自分がいる。その結果とR(0)が変化するのか、もしくはR(0)は一定として、その変化した結果をR(t)というのかは定義の問題なのはあまり良くわかっていない。


◆2:Rに時間軸の概念を入れたらどうなるのだろう??

1人が3人に感染させるとして(R=3) 感染させる速度は違うだろう。例えばエボラの場合はスグに重篤化してしまい死ぬことが多いので、感染させる期間が短いはず・・。それに引き換えて新型コロナウイルスは潜伏期間が3日〜2週間と長く、しかもインフルよりも長引くと思われているので、感染させる期間は長いだろうと思う。

なのでウイルス2種類あって両方ともR=3だとしても、1ヶ月後にどう増えているかは違うことがあるのだろうと思う。

そんなことを漠然と考えていて、夕方にフィリピン大学(以下UP)の分析をみて、T(2)という概念があることを知る。これは何日で感染者が2倍になるかの指標。これは時間軸の概念のないRの弱点を補うものなのだと思った。

www.up.edu.ph

上の分析を翻訳サイトの力を借りつつ検証していたのだけど、どうして研究者っていうのは新規の感染者数をここまで重視するのだろう??

以前にも書いたけど、今回の新型コロナウイルスの感染者数はあくまで認知数であり実態を想像する力が必要になってくる、国の方針によって違うので単純な比較はできないし、検査体制がだんだんと拡充されていくので、データとしての連続性も不確か。

この大学 UPの分析ではT(2)は約6日間としているが、フィリピンでは4/5以降に検査体制が大幅に拡充されている。以前は陽性率約7割と高く重症患者など限られた人にしか検査をしてくれていなかったと思われる。それに対して4/12では検査数が大幅に増え陽性率も他の国と同水準までに下がってる。そこから導かれる結論は『最初の感染者数は低めに出ている』ってことで、僕はT(2)は6日間よりもう少し長い8日間くらいだと推測している。

学校や研究機関は『多くが納得しやすい分析』をしたがる動機があると思う。推計のあちらこちらに『たぶん、実際はもう少し多い』とか『おそらく割ほど低くでてる』って曖昧な言葉を入れるほどに、読んでいて『凄い分析だ』とはならなくなる。ただし、新コロに関しては不確実なことが多く、変化が大きく、計算でそれは補えるものではない。計算力より想像力や推定力みたいなものが大事なのだろうと僕は思っている。


僕はたまに使う表現なのだが『AIであろうがスパコンであろうが、入れる計算式やデータに誤りがあれば正しい答えは出てこない』・・・おそらくデータサイエンティスとしての優秀さはそこで決まるのだろうと思う。企業の決算のように数字として固い場合はそういった能力は必要ないだろうが・・。