KOYA(マニラで子供らと遊ぶ)

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基本再生産数をどうみる!?

新型コロナウイルスが話題になってから僕はニワカのウォッチャーになっています。今回は『基本再生産数R(0)』などのデータについて考察してみたいと思う。あくまで素人の考察なので「査読を受けていない論文以下」というくらい軽く読んで下さい。またプロがみて間違いがあれば優しく指摘して下さい。

イメージだけ先に言うと『推論の積み上げ』ですね。

前半は『国や地域によって基本再生産数はかわるだろう』って話。
後半は『感染者数からも推論で割り出しているのだろう』って話。

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まず基本再生産数・・・今後は面倒なのでRと言います。Rはウイルスなどが『1人から何人に感染するか?』という指標で、麻疹のように感染力の強いものもあればそうでないものもある。単純に感染しやすいかが重要なのではなく、感染しやすくても凶悪なウイルスは致死率が高いだけでなく早く重篤化する傾向があるので結果的にRは高くならない。大勢に移す前に死んでしまう感じ。

新型コロナウイルスの場合はインフルエンザと比べ、潜伏期間が長く、症状も長引く傾向があるらしく、さらに無症状で感染するなどRを大きくする要素となっているようだ。ただし平均的に感染を広げる感じではなく8割はほとんど感染させることなく、残りの2割が多くに感染させるという特徴があるという報告もある。


一般的にRはウイルスによって数字が決まっていると思っている人もいると思うが、僕はあくまで推論を積み上げた上での平均値としてであり、地域によって違うと思う。


◆例1: 都会と田舎。

都会の方が人口密度が高い。満員電車で通勤する場合と田舎で自家用車で通勤する場合では感染するリスクはかわってくるだろう。

なので基本的には 【都会のR >  田舎のR】となると思う。


◆例2:公衆衛生やキスやハグなどの習慣。

感染症では飛沫感染以外にも接触感染などがある。主にウイルスをさわった手で目をこすったり鼻をほじったり、口をさわったりと粘膜のあるところで感染する。手からウイルスが入ることは風邪の原因になるようなウイルスではあまりないようだ。

なので、手洗いの習慣のある国とない国では違うはず。またレストランなどでテーブルをシッカリと拭く店と、拭かない店では違う。日本では拭くのが当たり前だが国によっては違う。

加えて欧米などはキスやハグの習慣がある。握手なんかも多い。日本は握手をすることもあるがほとんどは会釈のみで終わることが多いと思う。

なので、【不衛生な国の R > キレイ好きな国の R】だろう
また【スキンシップの多い国のR > スキンシップの少ない国のR】だろうとも思う。

◆その他

それ以外にもBCGの接種によってウイルスに強くなっている説もあるし、風邪の流行するような温帯では旧型コロナウイルスに感染して抗体がある人も多いかもしれないので、新型に100%ではなくとも20%くらい強い・・・という可能性はありえる。また気候の影響も無視できないと思う(風邪が冬に流行するなど)。いろんな要因があって、基本再生産数Rは推論の積み上げで成り立っていると思う。


ここまでが前半。後半は『実際の感染者からRを割り出す時の難しさ』・・これも推論の積み上げだって話をしたい。

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新型コロナウイルスは武漢発と言われていて、そこから中国全土、そしてアジア、中東やヨーロッパ、アメリカ、南米、アフリカなど全世界に広がっていった(パンデミック)

 

各国では連日、感染者数や死者数、回復者数などを発表している。

一般のイメージはそれらをグラフにすればRを割り出したり、その先が簡単に予測できると思いがちだが、実際には結構ややこしい。


◆1:感染者数などのデータはあくまで認知数でしかない。

感染しているか知る為には検査をする必要がある。検査で陽性と判定されてはじめて感染者となるのが一般的(※1) その陽性とでた数の裏に実際にどれだけの感染者がいるかは推定するしかない。国によって検査状況は違う。積極的に検査したのは韓国。ドライブスルーなども活用して検査数を増やした(※2)。日本は重症者をケアすることを重視して検査はしぼってきた。なので認知件数としては少なく出ていただろうし、実数を把握するのが難しい国の1つ。

もっと難しいのが途上国で『PCR検査ができない』などの理由で限られたケースのみ検体を採取し海外(※3)に依頼するなどしていた。その後で検査キットを入手するなどして徐々に検査体制が整ってきてる感じ。

また検査数が多ければ実態が把握できるかというと、それも簡単にはいえない。ニューヨーク(NY)のようにオーバーシュート(爆発的感染)をしてしまったところは、検査をいくら増やしても、感染者数の増加に追いつかないって事態がおこると考えられる。

数字上の感染者数は(いくら実際の感染者数が増えたとしても)検査数を越えることがない。

また厄介なことに、同じ国でも徐々に検査体制が整うなどするので、感染者数の推移を見る上での連続性がない。


◆2:死亡数の推移について。

検査の少ない国でも、比較的固い数字が死亡数だろうと思う。死んだかどうか確認するのは普通は簡単にできる。ただし武漢のように厳格に封鎖してしまった場合には家で死んでいても放置せざるをえないなどが考えられ、数値にタイムラグがでたりするだろうし、肺炎で医者が新コロを疑ってもなかなかPCR検査がされないってことが日本であった(最初、今はちゃんと検査されているはず) そういった場合は新コロでの死者なのにカウントされない可能性はある。

死亡数(人口当たり)は感染拡大がどのていどしているのかの目安にはなるだろう。

ただし、これも難しい要素があって、1つはイタリアや武漢のように医療崩壊を起こしているケース。死亡率が増える。また途上国では通常の医療設備が整っていないということで死亡率はあがるだろうと考えるが自然。

新コロについては、まだ治療法がない。基本的には自然治癒力に任せることになり、重篤化した場合に人工呼吸器やECMO(※4)を使える場合は死なずに済むかもって感じ。

なので個人的には【どれだけの人が重篤化したのか?】を比較するといいとは思うが、共通の基準を作って各国が公開している訳ではないのでそれも難しい。


◆後半のまとめ

結論としてはRをデータから出そうにも、推測するしかない感染者数や死者数を積み上げた上での仮説に過ぎない。ただし僕はこう思う。

日本やフィリピンのRがイタリアやNYのようにオーバーシュートしてしまった国と同じだとしたら、それらの国より先にオーバーシュートしていないと辻褄が合わない。

日本は中国に近く入国制限も他国より遅かった。更に自粛を始めたのも遅いし、4/12時点ではロックダウンもしていない。法的な問題もあって『強いお願い』という状態。それでも感染者数や死者数がヨーロッパ諸国より少ない・・・この事実は受け止めるべきだと思う。

いろんな心配もあって厳しく自粛したい気持ちも分かるが、同時に強い自粛による被害(経済ダメージや自殺数の増加など)もあることは軽視してはいけないと思う。もっともこの点については価値観の問題もあるので異論は認めます。

そしてRを割り出すのは難しいと思うからこそ、僕は西浦さんにR=2.5の根拠を示して欲しいって思っている訳です。


※1:国によっては違うらしいがややこしいので除外。
※2:ただし検査精度があまり高い訳じゃないので偽陰性なども問題もあるので検査をどこまで増やすべきかは専門家でも意見が分かれる。
※3:フィリピンの場合は当初はオーストラリアに検査を依頼してたようだ。
※4:ECMO:人工呼吸器が肺の機能を補助するのに対してこれは肺の機能を代替する。