KOYA(マニラで子供らと遊ぶ)

庶民エリアにコミュニティスペースを作ってみた。

新型コロナウイルスの考察

新型コロナウイルスについてウォッチしている。

感染症の専門家や政府の対応など様々なデータを見比べている。おそらく考察するにあたり注意しておくべき点があるだろうと思う。


1:発表データの信憑性(特に中国)
中国政府の発表するデータは信用度が低い。できるだけ客観的なデータとか中国国外の例などを積み上げて推測するしかないと思う。また政府が意図的にデータを改ざんするケースだけでなく、武漢市の医療が崩壊していて感染者数が把握しきれていないとか、途上国で検査できる場所が少なく感染していても分からないなどあると思う。日本も例外ではない。

2:正常性バイアスとパニック心理

 人間は普段論理的な思考ができるタイプであっても、危機的な状況などに陥ると『大丈夫だろう』というバイアスをかけてしまう傾向がある。また逆にいろんな人が『危険だ』といったり『人がバタバタ倒れる映像』などを探し見てしまうと不安におそわれパニックになってしまう傾向もある。

つまり、安全だという方向にも危険だという方向にも心理的にブレやすい。

 

3:科学的知見と政治的な力学の乖離

WHOや感染症の専門家の分析や発表にも幅はあるが、それらの結論と、政治的な結論の間には乖離があることは珍しくない。小池都知事が決断した『豊洲移転の中断』などは科学的なことより政治的な決断が下された典型だろうと思う。

今回にウイルス感染に関しては、感染者を国内に入れたくないという市民の声や、日本人の同胞を武漢から避難させるべきだとか、様々な声があり『まだ正体がよくわからないウイルス』に対して不安がある中で市民に理解してもらうのは簡単ではない。

だからこそ厚生労働省の専門家が丁寧に説明する必要があるのだろうけど。



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◆A:致死率について

感染拡大中のウイルスに関して致死率を推測するのは簡単ではない。当初は3%と推定されていて、ウイルスの発生源とされる武漢市などでは感染者数と死者数の割合が2~3%だったことからそれなりの信憑性はあったのだが、この数字の欠点1は『感染したとわかった段階ではまだ死ぬか死なないのかが確定しない』という部分。特に感染拡大の段階では新たな感染者が増える数がだんだん大きくなる。

仮に致死率100%のウイルスであっても彼らが死ぬまでは感染者1000名、死者10名といった具合になるから致死率が低めに出る。

もう1つ大きな欠点2は、感染者がどれくらい把握できているのか分からない点。武漢市では激増する感染者に病院は機能不全に陥り、感染していても自宅療養をしている人が多かったと聞いている。感染者の中で感染を確認できる数は少ないだろう(もちろん死んでいても確認できなったりもあるだろう)

それと無症状感染者のように感染していても検査するほどの症状がでない人。だんだんとその存在が明らかになってきた。

当初よりはデータが増え徐々に推測の正確性がましてきているように思う。

 

発表データをいちおう信じるとして、武漢市がある湖北省の致死率は単純計算で約5%、武漢市以外の中国、および海外だと約0.2%くらいだろうと思う。

1000名近くの感染者がいるとされる広東省や湖北省で死者数が0名とか1名とかいうのはイマイチ信用できないが、それでも当初心配されていたより致死率はずっと低い。

しかも無症状の感染者がいることなどを考えると、さらに致死率は半分以下に下がるのだろうと思っている。専門家でもそう指摘している人がいる。

また武漢市を含めたトータルで致死率は上がるが、医療が崩壊した状態を含んだ統計上の致死率と、医療が普通に機能していて感染した場合の危険度という意味での致死率は意図的に分けて使ったほうがいいだろうと思う。


◆B-a:感染拡大は防ぐことができるのか?

一般的にこの手のウイルスは『致死率が低いほど感染が広がりやすい』と言われている。致死率が高い凶悪なウイルスは宿主が感染させる前に重篤化させて殺してしまうのに対して、弱毒なウイルスは発症しても症状が軽く移動し他人と接触することで感染を広めてしまうからだ。もちろん理屈の上ではそれに当てはまらないウイルスも考えられる『致死率が高いわりに潜伏期間が長く、初期症状は軽く感染が広がりやすくその後で重篤化して死んでしまう。しかも感染力が強く飛沫感染だけでなく空気感染もする』みたいなものだと人類の大半が死ぬってこともありえる。ただし自然界がそういうウイルスを作ることは考えにくいだろう。

で、話を本題に戻すと、今回のウイルスは致死率が低く、裏を返せば感染が広がりやすいタイプのものだと思う。いうなればインフルエンザと同じ。

何人かの専門家のコメントを見たが、基本的には『水際対策』というものの効果は限定的みたい。おそらく感染拡大初期には一定の効果があるが、武漢から中国各地に、さらに世界各地に散った状態だと、これだけ人の行き来がある現代において感染拡大をはじめたウイルスを封じ込めるのは実質的に不可能という専門家が多い。

ただピークを遅らせるという効果はあるみたい。この手のウイルスはインフルエンザをイメージするといいらしく、冬に感染が拡大し春から夏にかけて終息していく。そういう意味では冬の感染拡大を遅らせることができれば日本での流行はあるていど抑えられるはず・・。

またフィリピンのような暑い国はウイルスの活発さでいえば比較的安全性は高い気がする。ただし今はアフリカでの感染拡大が警戒されている。中国からの直行便が今は多く、検査も含めた医療体制がもともと脆弱なのでいくらウイルスが暑さが苦手だとしても、拡大しだしたら医療が(武漢のように) 崩壊しやすいみたい。

フィリピンもそういう部分での心配はある。病院もそうだが、庶民層は家が小さく大勢が同じ部屋で寝ている。感染の疑いのある家族がいても病院になかなか行けないとなり、自宅療養しようにも隔離ができない。


◆B-b:感染拡大は防ぐことができるのか2?

さきほど新型コロナウイルスはインフルエンザと似たイメージと言った。ワクチンができているかいないかの違いはあるが、致死率が低く感染が広がりやすいという点では似ているはず・・。何人かの専門家も水際作戦や隔離はほどほどにして、インフルエンザと同様に市民は手洗いなどの予防をしつつ、行政は医療体制がシッカリ機能するようにするべきといったことを言っている。

なぜ隔離とかがほどほどにすべきなのか??例えばクルーズ船の場合、隔離して部屋の中での長時間待機を強いられることで強いストレスを感じ、それが原因で抵抗力が弱まり発症する(ウイルスに負ける) といったことがあるという推測をしている専門家もいる。

新型コロナの感染者でも無症状のままの人もいれば軽症で済む人も多いらしい。重篤化しないように見守ったり、そうなった場合に処置できる体制は必要だが、必要以上に検査したり隔離したりしない方がいいみたい。

検査に関しても日本では現在国立感染症センターなど限られた場所しかなく、感染症の指定病院で感染が疑われている人がいてもそこで粘液等を採取してセンターに輸送するなどして検査をしているらしい。

検査する体制はそれほど整っていないみたい。なので『ドンドンと検査をして状況を把握すべきだ』といった一般の声もあるが、軽症で感染の疑いが低い人を検査することでリソースを割かれると、本来スグに検査しなければいけない人の検査が遅れるといういようなことにもなりかねない。

検査に関しては、岩田先生の動画が凄く参考になった。
 

www.youtube.com

 

◆C-a:感染はどこまで広がっているか?
(Bと似ているが気にしないで欲しい) Bのつづき。

現在の検査体制が強力ではないという話をした。僕はチャーター便で帰国した日本人やクルーズ船で検査されている人達に関しては数の上では多いが心配することはないと思う。すでに健康状態がチェックされていてそこから広がるリスクも低いからだ。

僕はむしろ武漢市の観光ツアーによって感染したとされるバスの運転手およびバスガイドが感染を広げていないか?の方を注目している。厚生労働省は彼らの濃厚接触者をリストアップしてフォローしているようだが、実際には簡単ではないと思う。

濃厚接触者の目安としては2メートル以内で30分以上とかそういったものがあるにはあるが、それは目安でしかない。極論すればクシャミしてツバが直接かかれば感染するだろうし、特に満員電車なら顔と顔が30cmとかありえる。それなら例え10分であっても十分に濃厚接触者といえるのではないかと思う。

僕はバス運転手の方は自家用車で通勤していたと聞くので病院にもおそらく車でいった可能性が高く、比較的リスクが低いと思っているが、バスガイドの1名の方は発症した後に1月20日東京、1月23日に大阪で受診している。その間、地下鉄や新幹線を使ったらしい。新幹線は比較的空いているとしても地下鉄の場合はラッシュ時ならそれなりにリスクは高いとみている。

そして仮に感染していた場合に発覚するのが2月3日~6日と僕は予想した。


が、6日を過ぎてもそのルートでの新たな感染者報告はでていない。楽観的にみればそこからの2次感染はなかったとも見られるが、僕は別の可能性も考えている。それは『発症したが検査されていない』という可能性だ。

なぜなら現在の日本の検査体制は『武漢市から来た人』および『感染者との濃厚接触者』に焦点を絞っているみたいで、それ自体は正しいと思う。理由は2点。

理由1:『私 新型コロナに感染したかも??』って人は大勢いるだろう。自分が風邪症状なら検査して欲しいって人はそれなりいいて、それら全てに対応していたら検査体制がもたない(はず) なので検査をするのは限定する必要がある。

理由2:新型コロナの感染者であろうがインフルエンザで肺炎の患者であろうが基本的には同じ処置をするしかない。なぜならワクチンが開発されていないから。解熱剤とか点滴とか基本的な治療をしつつあとは患者の回復を待つしかない。一部HIVの薬が効いたという話もあるが、その信憑性もまだ高い訳ではないし今のところ『患者の健康』という意味で新型コロナの感染者であるとわかるメリットがない。

感染の広がりとか症状とかを分析する上では『感染者が多くみつかった方がいい』がみんなを検査できない現状を考えると仕方がないと思う。


◆C-b:感染はどこまで広がっているか2?

そこでさきほどの感染が地下鉄等で広がっていた場合を想像してみた。もちろん広がっていないにこしたことはない。次の感染者は潜伏期間を経て発症。病院にいくが初期症状の段階では風邪薬を出して様子を見ましょうとなる。感染者の大半は無症状および軽症状でここでおわる(無症状や軽症状であれば感染を広げるリスクは比較的低い)

感染者の中で少し症状が重くなるケース。その場合に2回目の受診があり、そこで新型コロナウルスの検査が行われれば2月3~6日に発覚だと予想したのだが、前述のように『濃厚接触者でない人が検査されることは原則としてない』みたいなので、通常の肺炎などと同じように治療される。が、それが新型コロナだった場合にはその病院の行き来などの間に更に感染を広げてしまう確率は高まる。

(ここからは少し悲観的なシナリオ) バスガイドが地下鉄を利用したのは仕事での出張みたいな感じらしいので『たまたま』だが、感染した人は『日常的に地下鉄を使っている可能性が高い』

東京は大阪という大都会で、地下鉄で感染し、さらに発症した人は、更に地下鉄で感染を広げてしまう。多くが軽症や無症状でおさまれば感染拡大も限定的かもしれないが、ウイルスが特性と急に変えるとは思えない。武漢市であれだけ感染が広がったことを考えると感染力はそれなりに強いはずで、複数の感染があった場合に、さらに感染を広げ、その先に頻繁に咳き込むとかしてスーパースプレッダーになる人が出てこないとも限らない。それは確率の問題。

おそらく都会で普通に電車を利用している人。しかも日本での感染は25名で数が増えていないと思っている人達にとって、マスクはしているとはいえ周囲に感染者がいるとか、自分が感染しているかどうかは『実は考えていない』なので、おそらく風邪の症状が出たとしても軽度なら学校や会社にも行くだろうし、少し咳がひどくなっとしても『病院まで電車を使っていく』と思う。仮に自分が感染しているかも??という意識があればタクシーを使うなどするが、感染者が少ないとされる段階でタクシーっていう選択肢は取らないと思う。


実は僕は北京と上海の動向に注視している。なぜなら武漢と違いその2都市は大都会。日本でいう東京と大阪のようなもの。特に中国では春節の休日を2月9日まで延長している。その休日が終わった後に感染者がどのていど増えるのかは注目。それなりにみんな警戒しているとはいえ地下鉄などの機能は簡単に止められない。もしその2都市で今後感染が広がっていけば、日本の東京や大阪も時間差で同じ道を歩むかもしれない。


◆D:新型コロナウイルスは怖いか?

僕は仮に東京や大阪でそれなりに広がっても僕自身はそんなに怖くない。それは僕がマニラにいるからということではなく仮に僕が東京に住んでいたと仮定しての話。なぜなら致死率は現段階でも0.2%で無症状や軽症状で検査をしていない人をいれるともっと低くなり、更にはそれは平均の数値で、高齢者でもないし特に糖尿病などの持病がないならそこまで深刻な症状になる可能性は低いと思うからだ。

もちろん爆発的に広まったら少し事情はかわってくる(北京と上海の様子をみて考え方をかえるかもしれない) また経済的なダメージも気になる。

ただ今のところ一番気になっているのは僕の在住しているフィリピンから日本に一時刻した後で『フィリピンから入国拒否』されること。仮に日本の感染者数が増えていった場合にフィリピン国民の不安が高まる。武漢市からの入国をいち早く禁止にしたドゥテルテ大統領のことだ、日本との関係があるとはいえ日本からの入国禁止にしかねない。


◆E:日本はどうすべきか?

正直なところ専門家が判断すべき内容だと思うが、そういう専門家の意見を聞きつつ僕が思うのは、4点。

1:検査体制の拡充および医療体制の再チェク。

新型コロナウイルスの検査がもう少し幅広く行えるようにする。例えば検査ができる病院が全都道府県に広がれば送ってから検査結果が手に届くまでの時間が短くなり感染拡大が把握しやすくなる。

現在は武漢から来た人や濃厚接触者を中心に検査しているものを、全国で肺炎など一定以上の症状がある人を検査できる(検査体制が整うまではランダムでもいい)


2:厚生労働省の専門家が国民に説明する。
国はそれなりには信用されているが政権はそうでもない。感染症の専門家が厚生労働省を代表する形で国民に説明するべきだと思う。

A:この手のウイルスの封じ込めが困難であること。
B:致死率は低いこと。それなりには感染拡大の可能性があること
C:医療体制は整っていること。検査体制など拡充していること

そして丁寧に記者からの説明に答える。


3:そして街中での感染が見つかり、あるいはそれが少し広がった場合には追加で。

D:風邪の症状がある人は出社や通学は控えること、会社もそれに対応すること(ホームワークなど)
E:症状がある場合は地下鉄やバスなどを使用しないこと。

場合によってはタクシーを『運転席と助手席』と『後部座席』を遮断し、専用護送車として運用したほうが安心かもしれない。加えて後部座席にはアルコールスプレーを置いてお客さんが乗車前と乗車後にスプレーしてもらうとか。


4:国際協調

世界的に未知で危険さウイルスが広がっているという認識になっているが、感染が広がり致死率が低いとわかってきた。なので普通のインフルエンザと同じような対応に落ち着くように国際的に話し合って飛行機の運行停止とかを段階的に緩めていくようにする。もちろんスグには出来ないが、例えば日本で感染者が1000名でて、シンガポールが100名だとして、どっちも感染者がそれなりにいる国なので行き来を禁止しても意味がない。

(ちなみに日本がクルーズ船をOTHERS扱いにする前にたしか『日本は89名、シンガポール25名くらい』だったと思う。それを見て『日本は中国の次に危険な国なった』と言っている人がいたがそれは違う。なぜならシンガポールは大阪府より人口が少ない。人口や人口密度を配慮しないといけないから)


たぶん逆にすべきではないこと。

1:地下鉄などの封鎖。こういうのは最終手段。街中で感染したとしても検査できる体制がない。なのでそういうのが発覚するような段階になっていたら既に感染は相当に広がっているはず・・。他地域に広がってしまっているだろう。

感染が疑われる人はできるだけ家にいてもらい。医療体制をいかに維持するかを考えるしかないと思う。仮に地下鉄などを封鎖した場合には経済に大きなダメージがあって、経済停滞による倒産などで死者が多数出る。経済要因による死者は僕は意外に軽視されがちだと思う。

いくら命が大事だといっても医師に無休で働けとはいえないし、病院や医療制度を保つにもお金がいる。


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あとマイナーブログということをいいことに過激なことを言うが、

僕は病気によって『高齢者や弱い人が死んでしまうこと』それはある意味で『自然の摂理』だとも考えている。これは倫理的な視点をいったん横においての考えではあるが、現代は医療が発達していろんな病気が治る。それは良いことだが、その一方で高額な医療によって延命されているとも言える。それは医療財政や年金財政を圧迫し、結局は普通の人が普通の医療を受けるのを難しくしてしまっていると僕は思う。