KOYA(マニラで子供らと遊ぶ)

庶民エリアにコミュニティスペースを作ってみた。

貧困の考察2。子供編

前回 貧困についての考察1 - フィリピン考察記 のつづき。


今回はフィリピンの子供の貧困について。


僕はスクウォーターエリアと言われる所に週2、3回いっている。以下集落と呼ぶが、そこは小さな家が多くひしめき合っている。昼間でもビンゴをしている大人がいたり、ベタベタに濡れた洗濯物が通路の上に干されていたりする。通行人は濡れる。そこら中にゴミが散乱しているがたまには掃除しているようだ。

そのエリアの特徴の1つは子供が多い。少子化まっしぐらな日本と正反対だ。僕はそこに遊びにいき子供たちと遊んで帰ってくる。最初は1人のメイドさんつながりなのだが、既に通い始めて4年ともなると周囲の大人からも認知されている。


『途上国の貧困について何とかしたい』と考える人はいる。とりわけ子供の貧困に関心を持っている人はいるだろう。いろんな人がいろんなアプローチを試みている。里親制度であったり学校を設置したり。里親制度も基本的には生活費や教育費を出してあげるというもの。

僕は教育への投資は大事だと考える1人だが、庶民が貧困から抜ける上ではどういう教育に力を入れるかはかなり重要だと思う。


というのは、、、フィリピンにおいて大卒であっても給料は安い。高卒よりはマシだが、大卒でも就職できずにいる人や給料が高いから海外でメイドになる人もいる。なので通常の教育はコスパが悪いと僕は思う。

 


僕が注目しているのは【1:プログラマー、2:日本語】だ。

◆1プログラマー
この職業は手に職の典型だと思う。優秀なプログラマーなら学歴関係なく就職できる。それだけではない。プログラマーの給料はフィリピンの賃金より世界の賃金の影響を受けやすい。海外から仕事を受注できることで高給(になりえる)職業の典型だと思う。

かといって医者やパイロットなど多くの投資を必要としない。それでいて小さな頃から接することが大きなアドバンテージになると僕は考えている。

ただし僕自身はパソコンを用意でいてもプログラムを教えることはできないので、仮にそういうプロジェクトをするとすればパートナーが必要となる。


◆日本語
この職業も高給だと思う。20年後はわからないが(もっともその頃には他の仕事も根本的にかわっているかも)、少なくともあと10年くらいならそれを軸に仕事ができると思う。フィリピンにおいて英語は武器にならない。あるていど話せることで英語の先生やコールセンターで働くことは出来る。それでも日本語が話せ、翻訳や通訳をすることができればその2倍は稼げる。それでいてネイティブレベルなら5倍くらいは可能だと思う。

子供の特性として言語習得能力があると思う。もともと多くの人の中で育ちコミュニケーション能力の高いフィリピン人は大人であっても言語習得に向いている。子供ならなおさら。なので、日本人が集まる環境をつくり、遊びながら日本語が学べる環境を作ることができたら大きな力になると思う。


仮に1人の子供が人の5倍稼げる大人に育ったら、周囲の成功モデルとなってくれるだろうし、その1人が弟達の教育費を捻出したり家族の経済が大きく好転することになるだろう。


以上2つが就職を主にした戦略。
仮に就職を攻撃だと考えると次は防御の為の戦略。



◆健康とりわけ歯。

フィリピンにおいては食生活の偏りからデブが多い。高血圧や糖尿病も多い。それら健康が与える悪影響は経済的なものに留まらない。ただデブの問題についてはもともとの食文化の面が強いので簡単には改善させられないと思う。

フィリピン人にもっと野菜を食え!砂糖を減らせ!といっても難しい。

それよりは歯の方がまだ見込みがあると思う。集落の子供たちの虫歯率は高い。歯をみがく習慣が身についていない子供はやがて大人になる。虫歯の治療費は彼らには高く抜かれることも少なくない。そうやった結果。30代でも歯が5本以上ない状態になってしまう。それは見た目が悪い。食事をする時に困るというだけでなく就職をする上で不利になる。

まともなレストランで前歯が2本ないウエイトレスを見たことがあるだろうか???

プログラマーのような技術職ならあるいはOKかもしれないが、多くの仕事では見た目は障害になる。予防歯科にどう取り組むかは大きいと僕は思う(日本でも言えることだけど)


手はじめてに歯ブラシを配ってみた。バクラランなどの卸売市場でまとめ買いすれば1本あたり10円くらいで少しカワイイ子供向けのが買える。僕としてはもっと安い大人用も考えたのだが、子供に習慣づけてもらう上でカワイイは外せないと思った。

そして配る時は歯ブラシだけだと露骨なので、歯のない大人や子供に歯磨きをさせていない親たちに対しての配慮もあって、ペンとお菓子とをセットにして配った。

今後はその経過を観察するが、今のところ、歯ブラシ自体が買えずに放置ってケースには有効だろうが、歯磨きの習慣を付けさせるのは更なるアプローチが必要だと感じている。

特に僕が出入りしているフィリピン人の友達の異父兄弟用に歯ブラシを用意しその友達と一緒にどう歯磨きの習慣をつけさせるかを模索したい。その子度達はいつも来るワケではない。そのくらいが丁度いい。僕らは家族ではない毎日指導するワケにはいかない。



最後にフィリピンではNPOなどいろんな人が貧困について改善する為の試みをしている。支援者側が教育への投資だとパソコンを買い与えても、そのまま放置しておくとゲームやFacebookしかしないのがオチだと思う。どういうアプローチが有効なのか興味がある人や活動している人がいたら意見交換したい。