KOYA(マニラで子供らと遊ぶ)

庶民エリアにコミュニティスペースを作ってみた。

(フィリピン考察4) ドゥテルテ大統領の考察

公の場でする話題としては少しセンシティブなのがドゥテルテ大統領の話題だろう。特に彼の麻薬取締の手法(麻薬密売人や中毒者をどんどんと殺害する)は人権意識の高い人からは嫌悪の対象になる。

 

◆麻薬対策について


僕も手放しで支持はできないのだが、それでもフィリピンの犯罪状況を考えると『国民が期待するのも理解できる』・・・いやどこまで理解できているのかはわからない。実際に僕もマニラに住んでいるとはいえ安全なサブディビジョンに住んでいる。その点においては近所でジャンキーが頻繁に目撃されるとか日常的に犯罪に怯えている人達には『藁にもすがる思い』なのかもしれない。

 

◆独裁者としての資質


僕は彼が独裁者だとは思わないがそういう資質はあると思う。強いリーダーは常に独裁者と紙一重なところがある。フィリピンの治安にしても『正統派の手法でどれだけ改善が見込めるか』・・・というと簡単じゃないだろう。

ただ僕は彼が6年の任期(法的には再選不可)で終わって欲しいとも願っている。漏れつわってくる噂・・・(例えば) 元暗殺請負人が『麻薬密売人だけじゃなく大統領の私怨で人を殺していた』といった証言など。僕は彼を庶民の味方(善人)だとは判断できない。むしろ物議を醸し出しつつ大きな問題を解決してもらい次の大統領で正常化すればいいと思っている。


◆超法規的殺人という解決策の問題点


超法規的殺人を容認するとしても、それが警察官のみでない部分は恐ろしい。殺害された遺体に『こいつは麻薬密売人だ!』と書かれていて、どこまでそれが本当なのか、どこまで捜査されるのかを考えると疑わしいケースもあるだろうと思う。

大統領は警察官の給料を上げること公言し、麻薬に関わった犯罪者を殺害することで報酬を与えることなどを実行している。お金は大きな動機になると思うが、それにより『麻薬撲滅』という本来の目的より『目先の報奨金(末端の密売人殺害)』に目がいってしまい。結果として密売ルートの解明や元締めの逮捕(または暗殺)までいかず放置されることを心配している。

医者と患者の関係と似てて『麻薬が本当に撲滅されてしまっては賞金稼ぎの商売が成り立たなくなる』という。さらにここからは邪推というか少しの心配だが、警察やら軍隊の掌握というのは独裁者が強権を発動する上で最も力を入れることの1つだと思う。


◆とはいえ期待した部分


大統領は治安以外にも国民の大きな期待を背負っている。既に解決したのがNAIA(マニラの国際空港)で旅行者のカバンに銃弾を入れて空港職員や警察が恐喝をするといった事件。これは前の大統領の時に問題になり元大統領も専門のチームを派遣したり、職員の配置換えなどをしたが、たびたび再発した。

それが彼が大統領になって決めたのは『銃弾を持っていても拳銃を持ってなければ不問にする』といったもの。拳銃がなければ銃弾は役に立たない。そして恐喝のネタを悪徳職員は失ってしまった。見事な解決策だと思う。彼のアイデアかどうかは関係ない。少なくとも彼のまわりにそういうアイデアを出す人がいてそれを採用するだけの体制にはなっている。

その他に期待したい事としては『役所系の機能不全や腐敗』は目を覆うものがある。目に見えての汚職は就任前から減ってきているように思うが、中の効率の悪さ・・・・長時間待たされる国民。大統領の手腕に期待したい。

あとバクララン市場なども前よりキレイになったらしい。僕は視察していないが近場のビクータンというエリアは露天が一掃されてた。良くも悪くも強いリーダーシップだと思う。


僕はまだこの国では新参。主に日系のニュースや友人からの話がソースになっている。ソース元をたどるってことがあまり出来ないが、今後もフィリピンがどう変わっていくのかは注目してみていきたい。