フィリピン考察記

+腎臓病の療養記 in MANILA

(フィリピン考察2) フィリピンの医療費は高いのか

フィリピンの医療費は高いと言われている。

マニラ在住歴が長い友人からは『息子が急病になって1週間入院した・・・請求額約600万円』とかいう話を聞いた。もちろん病気によって値段は違うのだろうが、ネットで調べると通常の外科手術が必要なケースで1週間〜2週間の入院で40〜50万ペソ(100万円前後)というのはままあるらしい。

日本の医療費と比べる時は健康保険でカバーされる分を差し引いて考える必要があるので、10/3倍して、はじめてちゃんと比較できると思う。だがフィリピンの医療費はおそらくは高い。


またネットで調べた限りではタイの2倍、マレーシアの3倍の医療費だという。

その情報が正しいのかは分からないが、フィリピンの医療制度を見ていくと『それもありえるかも??』と思う。これからフィリピンの医療制度について『なぜ高いのか?』を考察したいと思う。ただし全ての医療について高いワケではない(それは後述したい)


1:アメリカから医療制度を取り入れた。

フィリピンはスペインの植民地に約333年なった後にアメリカの植民地に約48年なっていた。現在の医療システムの多くはアメリカからもたらされたものだと言われている。例えばオープンシステム。通常医師は独立した存在で病院の診察室を間借りして営業している。月火はA病院、水木はB病院、金曜はC病院といった感じで病院を渡り歩く。医師と検査機関、入院設備としての病院、薬局、それらは独立しているので、医師は必要な検査や薬を言うだけで、薬の相場とか入院費用とか『聞いても知らないケースが多々ある』・・・逆に日本の場合はクローズドシステムといって医師は病院に勤務する。同じ病院内で連携を取って医療に務める。


:専門医の独立は良いことなのか?

僕個人の経験としては腎臓病の検診で腎臓内科医を紹介してもらったことがある (友人にフィリピン人の外科医がいる) その友人に同席してもらいつつ受診したが、触診もせず血液検査などの資料とにらめっこ。『あなたの場合はまだ大した問題じゃないですね』とのこと。(語学力の問題もあるが)論理的な説明もなく『詳しく病状を知りたいなら腎生検するしかありませんね』ときた。これは腎臓に注射を刺して組織を抜き取り顕微鏡でみるといった検査で日本の場合は3日ほどの入院が必要になる。

値段を聞いてみると『約10万円』だそうだ。僕は思った。フィリピンで10万円を検査だけの為に払える人がどれくらいいるだろう??と、そして開業医(推定30代)であることと、そういう料金設定をすることでおこる問題点は、ベテランの指導を常に受けているワケではない。って点。そして料金が高いので手術などの経験が少ない。という点だ。

僕は『医者は経験を積んでナンボ』だと思っている。フィリピンの医療制度において医者は経験不足に陥っているのだろうと勝手に想像している。


その上でこんな話も聞く。


4:ホールドアップ・ホスピタル

日本のように点数制度がなく、病院の料金は不透明で医師が相手を値踏みして値段を決める(それら歯科医院などで経験済み)・・・その仕組はある種のモラル崩壊をもおこす恐れがある。患者が日本人だから値段が2倍、3倍になっているって話はよく聞く。おそらくフィリピン在住の日本人なら商売でも不動産でも値段を釣り上げられた経験があると思う。医療でも同じことがあると考えて間違えないだろう。

そして医療の厄介なのは『緊急入院したケース』だ。3万ペソといったデポジットが必要なのも問題なのだが、緊急のケースで他の医療機関を検討する余裕などない。『手術には200万円必要です』と言われれば、それがぼったくりであろうが、飲むしかなくなる。

また聞いた話では、体調不良で病院に言った人が医者からいろんな検査をドンドンと受けさせられたあげく、糖尿病(本当は予備軍でしかない)だからとかいって医療費をドンドンと釣り上げるような病院や医者もあるようだ。それらをホールドアップ・ホスピタルというらしい。


5:医師や看護師の給料が高いワケではない。

フィリピンの医療費が高いといっても、一般的な医者の給料が高いワケではない。僕の感覚ではアルバイトの賃金は日本の1/8(非合法だが1/20って人達もいる)で、医師とはいえ日本の1/4くらいだろうと思う。フィリピンにおいて医師は高給取りではあるが、庶民が行くような診療所だと初診料で200ペソくらいでしかない。

他にも血液検査を診療所ですると基本5項目くらいしかないが800ペソ(約1800円)といわれた。他の診療所も2ヶ所くらい調べたがだいたい1300ペソくらいまでだった。

高度医療でなければ医療費は医師や看護師の人件費の低さにあわせてある程度は下がる。もちろんそれでも庶民にとっては高いので薬で済ます人も多いのだが。


6:医師や看護師はアメリカに行く人も多いのだとか。

医師や看護師の給料は高くない。だから彼らの中には経験を積んでアメリカで働こうとする人も多いらしい。フィリピンで医師をするよりアメリカで看護師をする方が高給。(フィリピンで正社員をするよりシンガポールでメイドをする方が高給)。そういったことがありえる。その為に専門性を高めるためにまたお金が必要で、それをせっせと上にあった方法で稼ぐ・・・そういう実体もあるんじゃないか??と思う。


僕ら外国人は『海外旅行保険に入る』とか『民間の医療保険に入る』あるいは『医療関係のコネを作る』・・・そして『もしもの時は日本に逃げ帰る(急病の時は諦める)』っていうくらいの対策?しかできないように思う。

それでもフィリピンの庶民をみてると不憫でならない。ちょっとした病気で簡単に人が死ぬ。気休めのサプリや、怪しげな祈祷師、あとは神様に祈るしか道はない。

(フィリピン医療の考察はまた続きを書きたい)